こんにちは、今週後半から気温も上がり暖かくなるみたいですね。気持ちのいい季節が待ち遠しいです。さて、以前、花粉症について書いたと思いますが、今回は花粉症に間違えられやすい歯の症状についてです。
鼻づまりはこの時期たくさんの方が感じていらっしゃると思います。しかし、中にはずっと一年中鼻の通りが悪い方もいるのでは?鼻がつまっていると何事にも集中出来なくなって仕事や勉強も全く捗らないという経験、非常に多いと思います。原因には感染症、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、鼻腔の構造的な問題、腫瘍、外傷、異物、薬剤性などがあり、どれか単独または複数の原因が重なって起きることが多いです。このようにいろいろな原因がありますが・・・・
「鼻づまりの原因が歯だった!」
なんてこともあるんです。鼻に症状を引き起こす虫歯の多くは奥歯が原因です。虫歯が進行し、細菌がどんどん、歯の根の奥の部分にまで侵入して、歯の根の先に病巣をつくり、そこから外に出てしまいます。
普通、歯は骨の中にはまり込んでいるのですが、上の奥歯の根の上部には「上顎洞」と呼ばれる鼻にも繋がる骨の空洞が存在しています。その空洞は加齢と共に大きくなると言われていています。この空洞が大きな人は、歯の根の先端がすでに空洞に飛び出ている場合があり、そのため虫歯の細菌がこの空洞に入り炎症が空洞に広がり、鼻には、鼻水や鼻づまりなど様々な症状が出るようになります。
虫歯が原因で上顎洞に膿が溜まると、蓄膿症に似たような症状が出ます。しかし、この場合直接的な原因は歯です。耳鼻科での治療だけでは完治せずに、歯の治療が必要になる場合があります。
実際に私が矯正治療した患者さんの中にも、十数年鼻づまりにも悩んでいる成人男性の患者さんがいらっしゃいました。耳鼻科に通院しているそうですが難治性だと言われていたそうです。ご縁あって矯正治療をすることになったのですが、診断の結果、便宜抜歯(矯正治療上、必要な歯列空隙を確保するために歯を抜去すること)をすることになりました。たまたま、歯の根の治療が施してあり、レントゲン上あまり保存状態の良くない歯があったので、その歯を抜歯しました。すると次の来院時に・・・・
「歯を抜いたら鼻づまりが治った」
と言うのです。レントゲン上、確かに今回抜歯した歯は、前の方の歯でしたが比較的長い歯で、歯の根先端部は副鼻腔に近い位置でした。
以後、この患者さんとは、矯正治療後も数年来のお付き合いになり、今も定期健診で時々来院していただいています。「鼻づまりも歯並びも咬み合せも良くなって良かった」と言われて、こちらも嬉しい気持ちになったことをよく覚えています。
鼻の治療は、もちろん、耳鼻咽喉科での受診が第一選択だと思います。しかし、なかなか治らない鼻づまりなどがあり、以下のような
- 「黄色い膿のような鼻水や鼻づまり」
- 「目の下からほっぺたにかけての腫れや圧迫感」
- 「歯の根元の歯肉腫れ」
- 「奥歯でものを噛むと痛い」
などがある場合、念のため歯科も受診されてみてはいかがでしょうか?
村田歯科 横浜矯正歯科センター 村田正人